FAQ

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一般的な話

定量生物学とはなんですか?

我々の研究室における定量生物学は、「生命現象の定量的な記載を通して、生命を規定する定量的な法則や原理を探求すること」を指します。 同時に定量生物学という「分野」は、「生命現象を定量的に解析するために必要な、実験技術・計測技術・データ解析技術・モデリング技術などを集めた技術的な総体」であるとも考えています。 定量生物学には生命の原理のような大問題は必ずしも必要なく、定量解析に有効なツールを上手く使って面白いことや役に立つができれば、それが定量生物学で良いと思います。 我々の研究室の活動では、「定量細胞生物学」「定量免疫学」「定量発生学」のプロジェクトがそれに当たります。

システム生物学とのちがいは?

「システムとしての生命現象の理解」を目指すシステム生物学とは兄弟のような関係です。 ただ、定量生物学のほうが理念よりも「定量的なレベルで生命を理解する」という手段や手法に重きをおいている感はあります。 研究者はオーバーラップが大きいです。

理論生物学とはなんですか?

広くは「生物に数学理論を応用する分野」です。生態学・進化学に起源の1つがあります。 実験再現検証がほぼ不可能な生態系・進化などの現象を説明する上で、 議論の厳密性・客観性を高めるために自然言語を代替する数学の役割は極めて重要です。 また、個体群動態(人口学・疫学)や生理学からの流れはより定量的な現象の記述・予測にあります。 しかし現在の定量解析技術で、進化や生態も細胞レベルであれば再現実験・定量計測が可能です。 生物の多様性も次世代シーケンサーで計測ができるようになりました。 これからの理論生物学は、定量データやそこから得られる知見を基礎として、生化学理論なども取り込み、より理論物理に近い分野に変化してゆくと我々は考えています。 生命システムを非生物と区別する特性、進化適応の原理、多様性形成と維持のメカニズム、などが大きな問になると考えます。

生命とはなんですか?

生命は物理現象の一種です。「生きている物理的状態」とは、通常の物理世界では本来稀にしか存在し得ない状態が、 自己複製と選択によりバイアスされ保たれている状態、と我々は考えています。 通常の非平衡状態はエネルギーや物質の流入が系を平衡でない状態に保ちますが、 生命現象ではさらに自己複製と選択が系を維持する原動力として働きます。

生命の理論とはなんですか?

物理的に稀な「生きている状態」に成り立つ典型的な振る舞いを理解することが生命を理解することと我々は考えます。 そのためには、生命の最小単位である細胞の内在する非平衡状態と、自己複製する集団に作用する選択との関連を 統一的に記述・理解する理論が必要であると考えています。

情報の概念はなぜ必要なのですか?

「生きている状態」の典型的な振る舞いを定める量として、通常の熱力学的な量だけでなく、情報という量が不可欠だと考えるからです。 情報は通常の非平衡系でも重要な役割を果たしますが、自己複製と選択による維持を前提とする生命系では情報の役割がさらに大きくなります。

情報の必要性についてもう少し具体的に教えてください

情報熱力学から、情報とエントロピー(の生成)は交換可能な量である事がわかっています。 一方我々の研究では、情報と適応度(選択圧)が交換可能であることが示されています。 また他方で、自己複製は何らかの熱力学的コストを伴います。この適応度という生物的量と 熱力学的諸量を結ぶ役割を情報が果たします。

生命は理論化できるのですか?

理論化できると考え我々は研究をしています。そもそも理論化とは、現象や世界のより良い記述を求める営みであると考えています。 「単なる事実や観測の記載を超えた記述を求めること」それ自体が、理論を求めることだと考えます(こちらも参考に)。

数学はなぜ必要なのですか?

記述の良し悪しはどれだけ現象を忠実に説明し、また予測できるかが重要です。 生命現象の定量的な記載を基礎とすれば、それを記述する理論も定量的な記述が可能でなければなりません。 数学はそのための不可欠な道具立てになります。
また数学は、様々な事物の間に我々が予想しなかった関係を見出させてくれます。 適応度・情報・エントロピーの相互関係も、数学的結果が先にありそれを自然言語に翻訳したものです。 背後に数学に基づく厳密な結果がなければ、この関係も強い言葉をならべた言葉遊びと変わらなくなるでしょう。

バイオインフォと理論は何が違うんですか?

インフォは生物のデータをベースとして数理・情報の技術を駆使して知識や法則の発見を試みます。 理論は主に、生命現象を構成する概念を数理化・定式化して、その検証や一般化を行います。 似ていますが、操作系(インフォ)と具現化系(理論)くらい違います。

ぜひ生物の理論や情報の研究をやってみたいのですが

理論や情報の研究に機材は不要です。物理的・経済的障害はなにもありません。今すぐ始められます。 教科書(学部むけ)教科書(大学院むけ)や論文・公開データなど、様々な情報が大学などに所属していれば簡単に手にはいります。 情熱があれば、あとは手を動かすだけです。 まずは教科書や論文の結果を追試するのもいいでしょう。 まず手を動かして見ましょう。自分で解決できない問題があったなどがあれば議論は歓迎します。 しかし一人では手が動かないのであればそれはただの憧れです。 憧れは理解から最も遠い感情です。

研究室全般について

この研究室はいつからあるのですか?

2008年からです。小林が神戸理研から異動して開始しました。研究室名は当時から「定量生物学研究室」です。

メンバーのバックグラウンドを教えてください。

過去のメンバーのバックグラウンドは、数理工学、物理、バイオインフォ、工学、神経科学、生物物理などです。

どんな設備が有りますか?

大型ホワイトボードとプロジェクターがあります。数台のスタンドアローンサーバーと、東大のCPU/GPUスパコンも利用可能です。実験設備はありません。

HP以外にSNSなどありますか?

研究室のFacebookでは近況のニュースが公開されています。 Githubでは、主にデータ解析系のコードが公開されています。 また研究室のBlogでは、研究に関連する情報や講義の情報が公開される予定です。

これまでどんな研究費の実績がありますか?

科研費:学振DC, PD, 新学術領域、若手A、萌芽、基盤B,JST:さきがけ、CRESTなどに採択された実績があります。 詳細は、日本の研究.comに情報がまとまっています(大体合っています)。

東大 定量生命科学研究所(IQB)と関係していますか?

名前は似ていますが、完全に無関係です。

関連する研究室はありますか?

coming soon

学生向け

どうやって研究室に参加できますか?

東京大学情報理工学系研究科 数理情報学専攻、もしくは工学系研究科 電気電子工学専攻の大学院を受験してください。 過去問などの情報も大学院のHPから確認することができます。 また、修士はできるだけ、博士は必ず我々の研究室の見学に来るようにしてください。 研究室には相性が確実にありますので見学はとても大事です。

参加するのにどんな知識や経験が必要ですか?

理系学部教養レベルの数学・物理の知識と基本的なプログラミングの経験は必須です(参考図書)。 生物に興味があることは重要ですが、生物の知識は必ずしも前提とはしません。 逆に、数学や物理を自分で手を動かしてやってきていない、プログラミングがほぼ未経験の方は、 研究室での研究に参加するのは難しいかと思います。

参加する前にどんなことを勉強すればいいですか?

基本知識として、数学(線形代数・微積・関数解析・統計)の基礎知識、 またPython, C, Matlabなどの科学計算プログラミング言語のどれか1つを自分である程度自由にコードできるレベルにしておくことが良いと思います。 また基礎物理(力学・解析力学・熱統計力学)もしくは情報学(生物情報、データ解析など)ができているとなお良いです(参考図書)。

ミーティングの頻度はどれくらいでしょうか?

ラボミーティングは、大体1,2週間に1回です。また2,3人が話すプログレスが1、2ヶ月に1回あります。

ラボゼミなど発表の頻度はどれくらいでしょうか?

プログレスで大体半年に1回発表あります。この他に学生は大学院授業での発表が年に1回あります。

コアタイムはありますか?

ミーティング以外、ありません. 自律的に研究や勉強を進めることを前提としています。 Labの使い方はそれぞれのメンバーの裁量に任されています。

研究に関する授業はありますか?

学部3,4年生向けにS1タームで講義「理論生物学」を理学部で開講しています。またAタームの「脳科学入門」で2回話します。 また隔年の夏学期に大学院向けの講義「数理情報学特別講義IV」を情報理工学専攻で開講しています。

どうやって研究テーマを決めるのですか?

研究室のプロジェクトのテーマから選ぶのが一般的です。 テーマは理論構築・モデリング系、データ解析系に大きくはわかれます。 もし取り組みたいテーマがあり、その内容や自身の結果を研究室メンバーにきちんと説明できる能力と意識があれば、 独自のテーマをすすめることを強く推奨します。 特に博士課程へ進学希望の学生は、少なくとも修士のうちに自分が独自で取り組むテーマを見つけること、博士では理論とデータ解析の両方に取り組むことが奨励されます。

参加する前、参加を考える前に気をつけることはありますか?

研究室は理論物理系の雰囲気が強く、「その話、わからない」「もっとちゃんと説明して」、「研究の前提は正しいの?」など、 研究の内容についてのツッコミがかなりざっくばらんに入ります。また自律して研究を進めてもらうことが前提になります。 「研究についての批判」を「人格攻撃」と区別できない人や、自分で主体的に調べたり学んだりできない人などはかなりきついと思います。
逆に研究室の他のメンバーなどと気兼ねなく議論しながら研究を進めたい人にはいい環境だと思います。

受験するときに気をつけることはありますか?

数理情報と電気では入試問題の傾向が大きく違います。ご自身の専門なども考慮に入れて大学院を選択してください。 入試は水物で、特に出題される入試問題やトピックは他専攻・他大学の学生には慣れていないこともあります。必要があれば相談にも乗ります。

卒業生の進路を教えてください

修士の実績では、三菱総研、トヨタ自動車、中部電力、ヤマハ発動機、日本銀行、ヤフー、ベンチャー起業、県庁公務員、NTT東日本、ソフトバンクなどが有ります。 博士・研究員では、特任准教授、助教、テニュアトラック助教、科警研、学振PD、海外学振PD、Amazonの就職実績があります。

学生への経済的なサポートはありますか?

Labとしてはありません。学生は所属した大学院のRAや卓越大学院制度などでサポートがなされます。 博士志望学生は学振DC取得を強く勧めます。

学生の対外発表のサポートはありますか?

研究の成果のレベル(およびその時のLabの予算)に依存して、国内会議、国外会議のサポートがあります。 修士でも海外発表の例はあります。

他に研究室のイベントはありますか?

歓迎会・懇親会・送別会(計年4回程度)の他に、毎年5,6月に大BBQ大会を開催しています(ただしコロナ中はすべて中止).

訪問者向け

おすすめの行き方を教えてください。

最寄駅は「京王井の頭線 駒場東大前駅」になります。 「小田急線(東京メトロ千代田線) 代々木上原駅」や「小田急線 東北沢駅 」からもアクセス可能ですが徒歩が長くなりますので、駒場東大前駅からのアクセスをお勧めします。

京王井の頭線を使うのですが。

京王井の頭線駒場東大前駅で下車していただき、下北沢・吉祥寺方面の出口から出てください。 改札口からは、駒場リサーチキャンパス(駒場第Ⅱキャンパス)のアクセスガイドを参考に東門よりおいでいただき、東門からC棟にお入りください。

小田急線を使いたいのですが。

「小田急線(東京メトロ千代田線) 代々木上原駅」や「小田急線 東北沢駅 」からアクセスする場合は、駒場リサーチキャンパス(駒場第Ⅱキャンパス)のアクセスガイドを参考に正門よりおいでいただき、キャンパス南東に位置するC棟においでください。

宿泊施設はありますか?

海外からの研究者ゲストは、大学のゲストハウスの利用が可能です。それ以外は、大学近辺でホテルをご予約ください。

おすすめのレストランはありますか?

coming soon.